トラック運転手が保護した人になつかない子猫 名前を呼んで「ニャア」と返ってくるまで4年の歳月

渡辺 陽 渡辺 陽

トラックのトライバーが田舎道を運転していると、路肩に1匹の子猫がいた。母猫や兄弟とはぐれて途方にくれているようだった。車の往来の激しい道で、このままでははねられてしまうかもしれない。そう思ったドライバーは子猫を保護。数匹の猫を保護して飼っている義理の姉を頼った。

道路の路肩にいた子猫

茨城県に住んでいた金子さんの義弟は、トラックのドライバーをしていた。2012年6月、いつも通りトラックを運転していると、路肩に1匹の子猫がいたという。周囲は田園風景が広がっているようなところだが、その道路は交通量が多く、放っておいたら交通事故に遭う可能性もあったので、トラックを留めて保護したという。母猫や兄弟とはぐれた野良猫のようだったが、すぐに抱っこできたそうだ。

金子さんは、数匹の猫を保護して飼っていたので、義弟は、金子さんのところに子猫を持ってきて「どうしよう」と相談した。金子さんは「いいよ、私が育てるよ」と言った。 

子猫を抱っこすると、大声で鳴いて手を動かし、降ろしてくれともがいた。

「元気なのはいいのですが、ここまで暴れる子は初めてでした。哺乳瓶でミルクを与えるとすぐに飲んだのですが、もう牙も生えていて、生後2カ月になる頃でした」

人に興味なし

子猫の名前はほたるちゃんにした。

当時、金子さんは7匹ほど猫を飼っていたが、ほたるちゃんは猫にはすぐに溶け込んだ。ただ、人間にはまったく興味を示さず、なつかなかったという。猫と仲良く暮らしていたので問題はなかったが、金子さんは寂しさを感じ、毎日事あるごとに「ほたる」と名前を呼んで、なんとか仲良くなろうとした。背中はなでることができたので、スキンシップも試みた。なかなか手ごわい相手ではあったが、里親を探そうとは思わず、自分で飼うと決めていた。

「名前を呼ぶと逃げるし、目が合うと視線をそらす。しょうがない、まあいいかと思ったこともありましたが、ここまでなつかない子は初めてでした」

信頼関係を築けた

そんな金子さんとほたるちゃんの関係に変化が訪れたのは、ほたるちゃんが4歳になった頃だった。ある日、金子さんが「ほたる」と呼ぶと近寄ってきたのだという。

「とても嬉しくて、やっと信頼関係を築けたと思いました。その日以来、甘えてくれるようになり、いま8歳なんですが、名前を呼ぶとニャアと返事をしてくれます。相変わらず抱っこは嫌いですが(笑)」

ほたるちゃんのことを可愛いと思って育ててきたが、どこか寂しさを感じていた金子さん。はじめて返事をしてくれた時の喜びはひとしおだったという。

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