奄美大島からやってきたツン猫が驚きの変化 今ではトイレ前で飼い主を“出待ち”

渡辺 陽 渡辺 陽

奄美大島の生態系を維持するため、奄美大島ノネコ管理計画に基づいて捕獲された猫。管理No.112番の猫は殺処分になる前に保護団体「あまみのねこひっこし応援団!」が引き出し、東京のボランティアのところにやってきた。

 

奄美大島ノネコ管理計画で捕獲された猫

奄美大島では、ノネコが在来固有種や希少種の動物を捕食し、生態系を壊しているため「奄美大島ノネコ管理計画」に基づいて行政がノネコを捕獲。首輪や鑑札、マイクロチップを装着していない猫で譲渡先が決まらない猫は、できるだけ苦痛の少ない方法で安楽死させられる。

2019年12月2日、「あまみのねこひっこし応援団!」が捕獲し、殺処分される可能性が高い猫を引き出した。管理No.112番の子猫は、はるばる東京にやってきてミルクボランティアをしている人に預けられた。

高校の時から思い描いていた猫との暮らし

2019年8月、東京都に住む齊藤さんは、自宅で仕事をしているが経済的にも安定し、多忙だった日々も一段落。時間に余裕ができたので、かねてから念願だった猫との暮らしを始めようとしていた。

「高校の時、動物保護関連のクラブに所属していて、週に1、2回府中市にあるシェルターSALAに行って、保護されている犬や猫の世話をしていたんです。その頃から、将来猫を飼いたいと思っていました」

保護猫で、2、3歳くらいの子を希望した。あとは直感で、「この子と一緒に生きていけると思える子」がいいと思っていた。

「子猫は希望者が多いので、私がもらわなくてもいい親が見つかる確率が高いでしょう。子猫でないと嫌だとは思いませんでした」

野良の大人猫、3週間でなつく

譲渡サイトに掲載されていたNo.112番の猫は、アイラインがくっきり強く入っている目力の強い子だった。少し慎重な性格で猫パンチが飛んでくることもあるが、時間をかけたら徐々に仲良くなれると書いてあった。

2020年1月中旬、猫に会いに行くとケージの網の上に乗ったまま降りてこなかった。チュールを見せてもプイッと顔をそむけたまま。なれるのに時間がかかると思われた。

1月17日にトライアルを開始し、1月24日正式譲渡。名前はアールグレイちゃんにした。

ケージの一番下の扉を開けておくと、夜中に抜け出しテレビの裏に隠れていた。2週間くらいはトイレの時以外ずっとそこにいたが、3週間もすると徐々におやつを手から食べるようになり、テレビの裏から出てきて過ごす時間が増えたという。

「思ったより早くなれてくれてほっとしました。嬉しい誤算でした」

アールグレイちゃんを迎えてから齊藤さんは、細かいことがあまり気にならなくなり、心穏やかに過ごせるようになったという。

「引っ掻かれて痛くても、まあそんな日もあるよねと思えるようになったんです。アールグレイがそれでいいのなら、まあいいかと思えるようになりました」

いまではベッドの上に座って電話で話をしていると、太もものところにぴったりくっついている。トイレをしていても扉の外で“出待ち”をするアールグレイちゃん。すっかり齊藤さんに懐いている。

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