1匹には病の宣告、もう1匹は脱走→拒絶…そして家族に 保護した2匹の庭猫

山中 羊子s 山中 羊子s

 3年前、自宅の庭に現れた2匹の子猫。どこで生まれ、どこから来たのかも分からないけれど、兵庫・芦屋市在住のNさんにとっては生活が変わるほどの大切な存在になっていきました。

 どう対処すればいいのか…猫を飼ったことがないNさんは、2匹が現れるとすぐに市の愛護協会に連絡しました。しかし、連絡ミスでそのまま1カ月が経過。その間に、Nさんは2匹を「福太郎」「もん」と名付け、朝夕、エサやりをするようになりました。この1カ月で次第にこの子たちへの愛情が大きくなったといいます。

 その後やっと連絡が取れた愛護協会が、2匹を捕獲して去勢手術をすることになりました。獣医さんからは「おそらく、まだ1歳に満たない子」といわれました。手術後、Nさんは2匹とも引き取ろうとしたのですが、愛護協会の方に初めて猫を飼うことを伝えると「1匹だけにしたほうがいいのでは」とアドバイスされ、福太郎を引き取りました。

 気になるもう1匹は里親が見つかるまで愛護協会で保護されることに。実はその子こそが現在、一緒に暮らすもんちゃんです。どうして、選ばれなかったもんちゃんが家族になったのか。そこにはドラマがありました。

病を宣告された福太郎、再び庭にもんちゃん出現

 「引き取った福太郎はとてもおとなしいと思ったら…」。しばらくして調子が悪そうだったので獣医さんに診てもらったら血液検査で「猫伝染性腹膜炎(FIP)」と判明したのです。この病気は致死率99%と言われる恐ろしい病気でした。それでも、あきらめず、治療を続けていました。

 一方、愛護協会に保護されたもんちゃんは保護先がみつからないまま脱走するなどして結局、リリースされ、野良生活に。そして再び、Nさん宅の庭に現れたのです。

 「保護してあげたい」と、庭でまたエサをあげるようになったNさん。「一度は私が見放したような形になってしまい、もんちゃんの心を傷つけたかもわからないのに、また、うちに来てくれたことで、放っておけませんでした」 

 福太郎ちゃんは家に来てから1カ月後に虹の橋を渡りました。「最期は家で息を引き取りましたが、苦しみながら息絶えさせたことがとても辛かった」とNさんは打ち明けます。

家猫になったもんちゃんは超甘えん坊に

 辛い日々も庭に現れるもんちゃんの世話を続け、少しずつ距離を縮める努力をしていました。そんな日が1年ほど続いたある日、もんちゃんが突然、家に入ってきました。これでやっと家猫にと思ったら脱走。再び、家に入ってきたときは1週間、クローゼットの中に立て籠りました。ところがです。なかなか心を許さなかったもんちゃんがクローゼットから出てきてからは、“猫が変わった”ように甘えん坊に大変身しました。

 「やっと安心できる場所と分かってもらえたみたいです」。いまではNさんから片時も離れたくないようにそばにいたがるもんちゃん。旦那さんもメロメロで大切な家族の一員になりました。

 「どんなに拒絶していても信頼されれば、こんなに猫って変わるんだって思います」。今ではNさんは「福太郎ちゃんの分まで幸せにしてあげたい」と愛情を注ぎ、SNSの投稿ももんちゃんの写真でほぼ埋め尽くされ、どっぷり猫生活にハマっています。猫は自分を幸せにしてくれる居場所を本能的に選んでいるのかも分かりませんね。

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