「手袋の感染リスク」レジ係の悲鳴…客殺到で替えられず、消毒で手荒れ悪化も「汚い」の声#コロナとどう暮らす

広畑 千春 広畑 千春

 「少しでもみなさんに分かってほしくて」-。

 新型コロナウイルスの感染防止のため、多くのスーパーではビニールカーテンだけでなく、アルコール消毒やビニール手袋を着用してレジ対応をしています。一方で長時間同じ手袋をし続ける感染リスクを指摘する報道もあり、17日にはツイッターで「手袋の感染リスク」もトレンド入り。こうした中、あるレジ係の女性が悲痛な訴えを投稿しました。

 手荒れでパンパンに腫れ上がった両手の写真とともにつぶやいたのは、酒神(@nazosake)さん。パートで、首都圏のスーパーでレジ係をしています。

 店では全レジにアルコールジェルが置かれ、手袋を着用して仕事をしていますが、手袋が汚れてくると素手で毎回アルコール消毒をしながら応対しています。酒神さんは、子どものころから皮膚が弱く、あかぎれや手湿疹で皮膚科に通っていたそうですが「今回の事態で、度重なるアルコール消毒やせっけんでの手洗いで更にダメージを負い、薬や保湿剤を塗っても回復が追い付かず、汚らしい手になってしまいました」と声を落とします。

 酒神さんは「そんな手でレジ打ちをされたら嫌だろう」と、会社支給のゴム手袋を着用。かゆみや痛みに耐えながら4~5時間連続で休みなくレジ打ちをしていますが「特に午前中は大行列で、『遅い!』と怒鳴り散らすお客様もたくさんいらっしゃり、手袋を替える暇はほとんどありません」といいます。

 少しでも…と手袋の上からアルコール消毒をしていたそうですが、「手袋の上からではあまり効果がない」という報道や相次ぐ感染リスクの指摘に、「どうしたらいいか分からなくなった」とツイートの意図を語ります。

 「私も主婦なので、買い物をするお客様のお気持ちはよく分かります。でも今回のコロナ騒動でレジ員は疲弊しきっています。常に人手不足なので、扶養内なのに月額88000円以上働かざるを得ず、腱鞘炎や皮膚炎で病院に通っている仲間もたくさんいます。自分では対処しようのない文句やクレームで、みんな涙をこらえながら仕事をしています」と酒神さん。

 小学校低学年の子ども2人を育てているためフルには働けないものの、「接客が好きで、レジ打ちの仕事についた」そうですが、「コロナ以降、買い占め等で『レジ待たせすぎ』『遅い、早くしろ』などと感情に任せて怒鳴るお客様が増えました。中にはレジ員をバイキン扱いするような発言をする方もいらっしゃいます。顔を触っただけでも『汚い!』と怒鳴るお客様がいらっしゃるので、フェイスシールドにマスクという過酷な暑さの中、汗を拭ったり顔を触る事も許されないのが現状です」と打ち明けます。

 夫も別のスーパー勤務のため家族はすれ違い生活を余儀なくされ、「精神的にも肉体的にも、レジで削られて家に帰ってから食事の支度や家事をするのが本当につらい」と酒神さん。今回、他のユーザーからの助言で肌に負担の少ない布手袋を購入したそうですが、「『アルコールでカゴやレジ台拭けよ!』と言われるのと、『気になるのでアルコールで拭いてからレジ打ちしてもらえますか?』と言われるのは全然違います。お店でもその都度ご意見に対処しているので、どうかレジ員を怒鳴りつけるのだけはやめて頂けたらありがたいです」とも。

 「感染リスク」を避けるのは大切なことですが、それが人を傷つける凶器にもなっていないか、立ち止まって考えることは、もっと大切なのではないでしょうか。

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