「赤い彗星」が空き箱で?!マクドナルド公式も思わず絶句…その極意と発想の源を聞いた

広畑 千春 広畑 千春

「妻にガンプラを買ってもらえないので マクドナルドでなんとかしてみました」

 空き箱を使った驚異の工作を次々と披露している神奈川県海老名市の歯科医、笠間慎太郎さん。その最新作がこのほど披露されました。腕を組み、あごに手をあててたたずむ赤い軍服と仮面の男。風にたなびくマント―。そう、シャア・アズナブル、まさに真打ち登場です。

 昨年7月に、空き箱作家さんの作品にインスパイアされて工作を再開して以降、アルフォートの空き箱で作った超人機メタルダーに、同じくマクドナルドの包み紙で作った獣神サンダーライガーと次々に作品を制作。いずれも元の空き箱のディテールを生かし、さらにまるで動き出しそうなほどの存在感を放っています。

 今回のシャアは5月26日にツイートしたものですが、これまで6.2万以上のいいねを集め、背中に「M」のロゴマークを配置する芸の細やかさにマクドナルド公式も思わず「すごすぎる…」と絶句。「膝から下の脚のラインが絶妙」「愛を感じる」と賞賛され「認めたくないものだな…自分自身が、まさか再利用でできていることを…」なんてシャアの心の声(?)も。

―ガンダムもお好きだったんですね。

「幼稚園の時に再放送がやっていましたが、当時は内容も分からずただ見ていましたが、小学生からコミックボンボンでガンダムの漫画を読み、高学年でVガンダムやGガンダムが始まってそこから過去の作品をレンタルビデオなどで見たりして、そのままズルズルと大人になったという感じです。ガンプラは持ってませんが本気でやると沼ですし、子供のおもちゃに加えて父親のおもちゃは許されないと空気を読んでいます」 

―どうやって作るのですか?

「肌は袋、黄色は袋のMのマークの所、赤はポテトLを1箱半、身体の芯はナゲットの箱、黒はビッグマックの夜マックの箱です。臭いや油分もあるので、きちんと洗って乾かさないとボンドが着きません。パーツ分けして後で組み立てる―という形ではうまくいかないので、少しづつ切り貼りして製作しています。今回は3日間で製作しました」

 ―存在感がすごいのですが、コツはあるのでしょうか。

「コツというと難しいのですが、知識は必要かもしれません。特撮ヒーローでしたら私はスーツアクターさんの体型も意識し、知識として持っている他に、もし知らなければ調べます。今回のシャアで言えば、『安彦立ち』というキャラクターデザインの安彦良和さんの描く独特の立ち方を表現するようにしました。歯医者で言えば歯の形を知らなければ治せないことに通じるかもしれませんね」

―創作の原動力は何なのでしょう。

「ツイッター上で皆さんから多くの反響や温かい言葉をいただけるのは嬉しいですね。私が子供の頃、祖母がよく色々作ってくれたのですが、ペーパークラフトの原点は祖母です。親になって息子に同じようなことをしているわけですが、やはり昔を思い出します。息子が喜べば親も嬉しいですから」

 そう話す笠間さんは、奥さんへのプロポーズも、手作りの飛び出す絵本で「サプライズ」したそう。そんな奥さんも、どんどんエスカレートする工作に辟易するどころか「箱取って置く?」と聞いてくれるようになったとか。笠間さんも「ガンプラはなくても工作をさせてもらえているので満足です」と話します。

 ちなみに、今回の作品の数日前には息子さんが安彦良和さんの描いたシャアのイラストを見て「この人は何を考えてるの」と聞いてきたとのツイートが。「正直に言うと、構想が浮かんだ時や製作中に次回作に関係するツイートをしています。全てにおいて、さかのぼってみると何かしらヒントを出しているんです」と笠間さん。

 まさに、「戦いとは、常に二手三手先を読んで行うものだ」。さて次作はいかに。

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