“ステイホーム”母親に負担ずしり…小中学生の世話や学力不安 岡山県内で聞いた

山陽新聞社 山陽新聞社
自宅学習に取り組む小学生。予習の内容のため、親の助けがないとなかなか前に進まない
自宅学習に取り組む小学生。予習の内容のため、親の助けがないとなかなか前に進まない

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、外出自粛や在宅勤務が奨励され、「ステイホーム」という言葉が定着する中、子育て世代の負担感が増している。特に小中学生を持つ母親にとって、休校に伴う日々の勉強の見守りや遊びの相手、3度の食事の準備…と、見えにくい“労働”が重くのしかかる。緊急事態宣言が解除された岡山県内では岡山、倉敷市などで学校が再開したが、短縮授業や分散登校が続き、親子ともに生活リズムを取り戻すには時間がかかる。母親たちの声を拾い、その現状を探った。

休息のない日々

 「学童から医療従事者ら以外は利用を控えるよう求められ、途方に暮れた」という岡山市の女性会社員(40)。テレワークに切り替え、自宅で仕事をしながら面倒を見ることになったが、小学4年の長男の宿題は予習の内容ばかりで、そばについてないとできない。3度の食事の支度や、子供の遊び相手もしなければならず、結局、仕事は子供が寝静まった夜に持ち越し。「休息がない日々で本当にしんどい」と振り返る。

 2月末の政府による一斉休校要請以来、ゆるやかにだが、確実に負担は増していった。自宅での食事の回数が増えれば買い物、片付けも増える。お出かけや外食せずとも、食費などの出費はかさむ。小、中学生の2人の子を持つ岡山市のパート女性(38)は「朝早く起きて弁当を作っているが、休校が長引くにつれ、カップラーメンやレトルト、冷凍食品の割合が増えた。給食があれば栄養面、金銭面でも心配はないのに…」とこぼす。

 興味深い調査結果がある。京都大の落合恵美子教授(家族社会学)らが4月に行った緊急ウェブアンケートだ。対象は、コロナの影響で本人または同居家族が在宅勤務をした男女で340人が回答。全回答者の3割が「家事の総量が増えた」と認識しており、中でも、子どもを持つ女性の負担感がより大きいという結果が浮き彫りになった。

学力格差を懸念

 休校の長期化に、小、中学生の子を持つ親にとって気になるのは学習の遅れだ。倉敷市のパート女性(42)の長男は、小学校に入学したばかりの1年生。これまで授業はほとんどなく、自宅学習が続く。「えんぴつの持ち方といった基本的なことから、ひらがな、カタカナ、数字も完璧でないのに、勉強といっても何をどうやって教えていいか分からない」と困り顔。しかも、2歳の長女の世話もある。「学習習慣もついておらず、これでいいのかと手探りの状態」と話す。

 学習に役立つサイトや動画を紹介するプリントを配る学校も多いが、シングルで小学4、1年、幼稚園年長の3人の子を育てる赤磐市のパート女性(36)は「スマホを渡すと好きな動画を見始めるし、おとなしく学習するとは思えない。仕事もあるし、ずっとそばについて勉強を見てあげることができない。つきっきりで勉強を見てあげられる家庭と、そうでない家庭とでますます学力格差が広がると思う。よその子の話を聞くたびになんでうちの子はできんの? とストレスばかりがたまる」とため息をつく。

 受験生の親の悩みは深刻だ。瀬戸内市の会社員女性(41)は「普通なら授業を受けている時間にテレビやスマホ三昧。勉強の話を振っても、うるさいと言われ、けんかになるし…」と顔を曇らせる。受験の天王山は8月といわれているが、「今年はこの休校中にどれだけきちんと1、2年生の復習ができているかだろう。本人のやる気が一番大事と分かっているが、できる子とできない子の差が広がるばかりで、親ばかりが焦る」。中学3年の息子を抱える同市の会社員女性(47)も「勉強そっちのけでオンラインゲームにふけり、生活も乱れている。積み残しができない中3は、授業のスピードが今まで以上にアップするだろうし、ついていけるのか…」と不安を隠せない。

時間に余裕

 子育て世代を悩ませるステイホームだが、プラス面を指摘する声もある。放課後も塾や習い事のスケジュールがぎっしりの子供、その送迎をする親にとっても、コロナ禍ですべて休みになり、生活にゆとりが生まれた。小学5年と2年の子がいる自営業女性(46)=岡山市=は「英語、ピアノ、スイミングなどを学んでおり、いつも時間に追われ、親子とも全力疾走だった。ずっと家にいることで、一緒にテレビを見たり、勉強を見てやったり、じっくり向き合うことができた。早く早くと追い立てることがなくなった。今は貴重な時間が持てたと思っている」と言う。

 県内では6市1町の小中学校21日から学校が再開。短縮授業や分散登校などを経て、5月末から6月にかけ、通常通りに戻る予定だ。ただ、長期休業による生活の乱れや心理的な不安を抱えている子が出てくることも想定される。3密(密閉、密集、密接)回避のため、学校生活も緊張を強いられる。小学3年と保育園年長の子がいる会社員女性(38)=岡山市=は「気温が上がり体力が奪われる時期でもあり、学校生活に慣れることが大事。体力が充実してこそ勉強も頑張れる。これまで以上に子供の健康に気を配りたい」と話している。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース