元看護師の町工場社長、野良猫を見て閃く!マスクを清潔に保管できるアイデア商品が誕生

黒川 裕生 黒川 裕生

家や職場などでいったん外したマスク、皆さんどうしていますか?「どっちの面を上にしたらいいのかしらん」なんてちょっと迷いつつ、机の上などに何となく置いている人も多いのでは。そんなお悩みを解決しようと、愛知県の小さな町工場「山本製作所有限会社」が愛らしい猫の形をした真鍮製の「しっぽ貸し手」を開発しました。24日から、数量限定でネット販売を始めます。

元看護師という経歴を持つ代表取締役の田中倫子さんが、製造業の強みを生かして新型コロナウイルスと戦う医療現場の力になろうと考案しました。もともとはドアノブやエレベーターのボタンなど、手で直接触りたくない部分を押す「タッチレスツール」の開発を目指していたそうですが、看護師時代の友人から「使い捨てのマスクを使い回している(マスク不足の頃)」「休憩中の保管場所に困る」などの悩みを聞いたことで、主機能を「マスク掛け」にするアイデアが浮かんだそうです。

野良猫(人間よ、私の姿をデザインするのです…)

「ダサいものは作りたくないので、デザインはいろいろ検討しました」と田中さん。どんな形にしようか悩んでいた頃、不思議なことが起こります。毎日同じような時間帯に、会社に野良猫が現れるようになったのです。餌をやったりして可愛がっているうちに、田中さんは「ええしっぽしとるやんけ…しっぽ…しっぽ……こ、これや!」と閃いたそうです。

完成したのは、しっぽをポールやフックなどにぶら下げ、背中にマスクを掛けられる猫形のアイテム。殺菌作用やウイルスの不活性効果があるとされる真鍮でできていて、しっぽの先はタッチレスツールとしても使うことができます。

「当初想定していた医療現場だけでなく、家の玄関やパソコン周り、車の中など、日常生活でも役立ていただけます」と田中さん。デザイン性が高いため、部屋の雰囲気も損いません。完成品はすでに、地元医療機関や福祉施設に寄贈。それぞれ個人ロッカーなどに取り付けて活用されており、好評を受けて一般向けに販売することにしたそうです。

父の死で看護師から町工場の社長に

田中さんは創業45年の町工場の3代目で、現在34歳。看護師として働いていた10年前、先代の父が病気のため40代の若さで急逝し、「親孝行のため」に好きな仕事を辞めて家業を継いだそうです。

とはいえ製造業は全くの畑違い。当然、「真鍮材を使った電気加工」という事業内容にも不案内で、苦労は多かったといいます。それでも3年ほど前からは、自動車や住宅関係などこれまでと違う分野にも積極的に進出。従業員数7人(男性3、女性4)、平均年齢40歳というメンバーを率いて、今回のような試みにも楽しみながら取り組んでいるそうです。

「しっぽ貸し手」は税別2800円。申し込みは、山本製作所有限会社の公式サイトから。http://yamamoto.suuhun.com/

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