在宅勤務で夫が子ども部屋を占拠! 夫婦の不仲が奪った息子の居場所…気付けばゲーム三昧、屁理屈の日々

島田 志麻 島田 志麻

私の友人A子は、昔から旦那さんと仲が良くありません。仕事を最優先に考える旦那さんは家庭を顧みることがなく、家ではいつも仏頂面で家族に当たり散らしているそうです。A子はそんな旦那さんとの関係に嫌気がさし、何度も離婚を考えました。しかし子ども二人の養育費を考えると、どうしても離婚に踏み切れず、仮面夫婦を続けています。

そんなA子一家ですが、緊急事態宣言が発令され、旦那さんが在宅勤務に切り替わったそうです。普段から夫婦間でまったく会話がなく、常にイライラしている旦那さんが一日中家にいることは、A子にとって大きなストレスになることが予想されました。

ところが、そう考えていたのはA子だけではなく、旦那さんも同じだったようです。旦那さんは少しでもA子や子どもたちと関わることを避けるため、自宅で仕事をする際リビングではなく、

「2階にある子ども部屋を使う」

と言い出しました。旦那さんと顔を合わせたくないA子は、二つ返事で「いいよ」と答えたそうです。

   ◇   ◇

旦那さんが使うようになった部屋は、小学校5年生の息子の部屋。朝から晩までZoomで会議をしたり、資料を作成したりする旦那さんは、子ども部屋に閉じこもり出てこなくなりました。A子は旦那さんと顔を合わせないことに、始めのうちはホッと安堵をしていたと言います。

しかし、部屋を奪われた息子の様子は徐々に変化していきました。自分の部屋が使えたころは、学校から出される課題や塾の宿題は、自分の部屋でしていました。A子の家では、ゲームはリビングでやるというルールがあり、ゲームが終わったら自分の部屋で宿題をする、というルーティーンができていたからです。

自分の部屋をお父さんに占領されてから、息子はゲームが終わっても勉強をする場所がなく、そのままリビングにいることになり、次第にゲーム時間はどんどん増え、気付けばまったく勉強をしなくなったと言います。

さすがに見かねたA子が注意すると、息子は

「リビングでは集中して勉強ができない」

の一点張り。さらに

「自分の勉強場所を取られたから勉強ができない。僕のせいではない」

と主張しているそうです。

仕方なくA子は旦那さんに

「息子が勉強をする時間は部屋を空けてほしい」

と伝えました。しかし、これまで夫婦関係が険悪だったこともあり、うまく伝えることができませんでした。また常にイライラして不機嫌な旦那さんからも、

「俺の会社はいつ会議が始まるか分からないから部屋を移動できない」

「お前だって俺がリビングにいるのは嫌だろう?」

と言って断わられてしまったと言います。

A子は今回の一件で、仮面夫婦であることが、子どもにさまざまな悪影響を与えていると痛感したそうです。夫婦が積極的にコミュニケーションを取らず、互いを無視した関係を続けてしまうと、子どもは

「お父さんのことを言えばお母さんは口を出してこないだろう」

という態度を取ってしまうということが分かったのです。

問題は解決せず子ども部屋は、未だに旦那さんが占領しています。仕方なくA子は、子どもが宿題をやるときには集中できるよう、自分がリビングから離れるようにしているそうです。旦那さんとの関係は相変わらずですが、子どものために仮面夫婦を少しずつ解消できるよう、「おはよう」や「お疲れ様」といったあいさつから、会話を増やすように努力しているそうです。

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