ダラダラ食いや飲み過ぎ、歯のかみ締めやほおづえ―在宅勤務で気を付けたいこと

ドクター備忘録

中塚 美智子 中塚 美智子
在宅勤務は運動不足になりがち(Ryoma/stock.adobe.com)
在宅勤務は運動不足になりがち(Ryoma/stock.adobe.com)

 在宅勤務で太った―そう感じていらっしゃる方が多いそうです。慣れない自宅での勤務でご自分のペースがなかなかつかめないうえに、運動量が減っていることが1つの原因かもしれません。

 仕事中に考えがまとまらない、やる気が起こらない、眠気を覚ましたい、そのような時にすぐにコーヒーを飲んだり、お菓子を食べたりしたくなりますね。しかし、常に何かを飲んだり食べたりしていると、もともとほぼ中性である口の中がずっと酸性に傾いたままになり、エナメル質に含まれるカルシウムやリンが唾液中に溶け出していきます。

 通常食事などをしてから約1時間で口の中のpHは7近くまで戻り、溶け出たところが唾液中のカルシウムとリン酸により修復されていきます。しかし、口の中が中性に戻る前にまた食べたり飲んだりすると、溶けたところが修復される前に再度口の中が酸性に傾き、虫歯になりやすい状態が続くことになります。ダラダラと飲んだり食べたりするのは控えましょう。

 また、ストレス解消で家飲みやWEB飲みを楽しみたいところですが、その際チェイサーとして水も準備すると、胃にも歯にもやさしくお酒をたしなむことができそうです。ただし、自宅だからとリラックスして飲み過ぎ、歯磨きをせずそのまま寝てしまわないよう十分お気を付けください。

 在宅勤務ではパソコン作業が必須ですね。パソコンを前にうーんと考え込みながら、つい歯をかみ締めていないでしょうか。たとえかみ締めていなくても、作業中に上下の歯が当たっていたら離しましょう。通常、食事の時以外は上下の歯の間に数ミリ隙間があります。しかし、常に上下の歯が当たっていると口を閉じる筋肉が緊張した状態が続き、頸や肩の筋肉も疲労する上、顎に違和感や痛みが出る場合もあります。集中しているとついつい無意識に上下の歯をかみ締めていることがあるもの。パソコンや目立つ場所に「リラックス」、「歯を離す」などと書いた紙を貼り、気づいたら力を抜いて筋肉の緊張を和らげましょう。

 在宅の場合、机や椅子の高さが調整できず、猫背など負担のかかる姿勢でやむなく仕事をせねばならないこともあると思います。良くない姿勢や頬杖も顎に負担がかかるので、台を置いてパソコンの位置を調整するなど注意したいですね。

 最後に、厳しい現状の中、自ら予防できることはでできる限り行いたいものです。口の中を清潔にすることは、虫歯や歯周病だけではなく、誤嚥性肺炎や動脈硬化などの心臓病の発症、糖尿病の悪化のリスクの減少にもつながります。歯を1本ずつ丁寧にやさしく磨き、口の中をきれいに保って自分自身を守っていきましょう。

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