駐車場で氷雨に濡れていた子猫、車に乗って降りずに籠城 ずっと飼い猫だったような姿に根負け「うちの子に」

渡辺 陽 渡辺 陽

冬の冷たい雨に濡れていた子猫、ガリガリにやせていたが元気いっぱいで、車に飛び乗ると、そのまま降りずに居座った。保護猫を7匹飼っていた中村さんは、他の猫となじめるかどうか心配したが、猫の様子に根負けして我が子にすることにした。

氷雨にぐっしょり濡れた猫

2016年12月、福岡県に住む中村さんは、夕方帰宅した時に、マンションの駐車場で雨に濡れそぼっている子猫をみつけた。その周辺には、野良猫にエサを与えるボランティアが何人かいたのだが、子猫はガリガリにやせていた。驚くほどやせていたので車を降りて見に行くと、氷雨に濡れ、ひどい猫風邪をひいて目やにでぐじゅじゅぐになっていた。声も出ないようだったが、ぐったりしているわけではなく、なでると喜んで「遊んで」とじゃれついてきた。

 中村さんは、既に7匹の猫を保護して飼っていたので、その猫を飼おうとは思わなかった。

「8匹も飼えないというより、やせてはいたけど生後6か月くらいの大きな猫だったので、先住猫が受け入れてくれるかどうか心配だったんです」

 猫の粘り勝ち

野良猫なのか捨て猫なのか分からないが、人懐っこい猫だったので、虐待目当ての人に連れ去られる可能性もあった。

「毒入りのエサを食べさせられるかもしれないとか、いろいろ考えました。そうこうしているうちに猫が車に乗ったのですが、まったく降りる気配もなく、そのまま動物病院に連れて行ったんです。うちの子にすると決めていました」

 病院に向かう間、猫はずっと膝の上に乗っていた。初めて会ったというより、ずっと前から中村さんの飼い猫だったように振舞った。

名前は、えいとくんにした。

本当の兄弟のような仲良しに

家に連れて帰ると、7匹の先住猫が一斉にエイトくんの周りに集まった。

「みんな警戒してシャーシャー言っていたので、怖かったと思います。えいともケージの中からきょろきょろしながらシャーっと言っていました」

 ただ、みんな新しい猫が来るのに慣れているのか、すぐにえいとを仲間と認めたようだった。

 なかでも、最初にえいとくんに近づいてきたらいとくんとは、齢が近いので、まるで兄弟のように仲が良い。寝る時も食べる時も、いつも一緒。片時も離れずにいる。

「いつも2匹一緒なので、1匹ずつ写真を撮るのが難しいくらいなんです」

 どちらかがこはんを食べに行くと、ついていくし、寝ていたら、そこに行って寝るそうだ。「遊び疲れて二匹一緒に寝ていた時、身体の上に猫じゃらしがあって、微笑ましく思いました」

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