観光客が減った影響? タイで猿の大群が興奮状態で町中を大暴れ「これほどの喧嘩は見たことがない」

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新型コロナウイルス感染拡大の影響は、人間界だけの問題ではないのか…。タイの観光地で、猿たちが町中で暴れている様子がわかる動画がSNS上に出回っている。動画を見ると確かに、優に100匹は超える猿の大群が、道路を縦横無尽に走り回って暴れている。

ネット上で「コロナのせいで、猿に餌をあげる観光客がいなくて、飢えた猿の群れが町中で暴れている」と動画が紹介されると、「動物までパニックしてるのか」「猿の惑星って映画を思い出した」「観光客の餌やりがその種の生態系を支える形になると持続可能性に欠けてしまって問題になるというのは、日本でも問題になってましたね…他人事じゃなさそうです」と反応があった。また「バッタの次は猿か」と、アフリカ東部でおびただしい数のバッタの大群が農地の作物を食い尽くし被害が出ているというニュースと重ねる向きもあった。

「観光客減→餌不足→猿大暴れ」は本当なのか

現地メディアのバンコクタイムズ電子版は11日、観光地の猿が大暴れしていることを伝えている。現場となった街はロッブリーという観光地で、古い寺院や遺跡などで知られている。この歴史的な街には数千匹の猿が住んでいるのだが、その猿たちが集団で興奮状態になり、街中を走り回ったと伝えている。

大暴れした猿は2つの集団に分かれており、いつもは、鉄道の線路を境界線として、棲み分けをしていた。ところが、食べ物を巡って、一方の集団のボス猿が、もう一方の集団に対して攻撃を仕掛けたために、2つの集団の大決闘が起こってしまったという。普段は集団間で争うことはないそうだ。

なぜ、集団間で決闘が起こったかについてはさまざまな見方がある。同電子版では気温が高いことが相手の集団に襲いかかるきっかけになったという説と、食料が足りないために襲いかかった説を紹介している。古くからこの街に住む75歳の老人によると、かつてこのような光景は見たことはないと話し、「コロナウイルスと何か関係があるのだろうか」と発言したことも書き加えている。

「これほどの喧嘩は見たことがない」

また、ブッダヒストドア電子版では、この猿の争いの動画をフェイスブックに投稿した人物の話を紹介している。投稿者は「夏の間は観光客が多いのですが、(新型コロナウイルスの)拡大で人がおらず市場も静か。猿に食べ物を残してくれる十分な観光客がいない」とコメント。近隣で営業するモーターサイクル運転手によると、これまでの猿の喧嘩とは違うものだと言う。「たいていの喧嘩は5~10匹。これほどの喧嘩は見たことがない」と驚いていたようだ。

あまりにも多くの猿が興奮状態で走っているため、付近の交通は10分ほど停止したという。

日本でもSNSで、奈良の鹿が観光客減のあおりを食って鹿せんべいを食べることができずお腹をすかせている、と心配する投稿があったが…。ただこちらは一般財団法人奈良の鹿愛護会が、鹿の主食は芝で鹿せんべいが食べられないせいで「『鹿が飢えている』『凶暴化している』といったことはありません」と否定している。

タイ・ロッブリーには以前からたくさんの個体が生息していると、新型コロナウイルスの拡大以前に撮影された動画を証拠として示した書き込みや、もともと、観光客ではない地元住民が猿に食べ物を与えていると指摘する声もあった。そして、近年では猿の数が増えすぎていることが問題にもなっていた。

観光客減によるエサ不足が招いたものかは断定できないが、多くの猿が興奮して駆け回る様子はあまりにもショッキングな光景であり、人々は人間界が直面している新型コロナウイルス感染拡大によるパニックと、どうしても結び付けてしまうのかもしれない。

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