外食は「ファミレス」→「フードコート」…そして「フードホール」に進化! 駅近施設で大人の味覚を刺激

最新流通論

渡辺 広明 渡辺 広明

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「フードホール」。都市圏の駅に近い商業施設などにある新たな外食形態として人気になっている。渡辺氏が実際に各地を訪ねて現状をリポートする。

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 先日、次男の小学6年生とファミリーレストラン(ファミレス)に行ったら、「この店、メニュー少ないね」と。僕の子供時代はファミレスといえばいろんなメニューがある外食の定番王様でしたが、そんなファミレスも今の子供たちから見れば、ラーメンも、寿司も、たこ焼きも、うどんも、ハンバーガーも基本的にない、物足りない外食業なのです。

 逆に多様なカテゴリーがあり、それぞれの専門店が絞り込んだ厳選メニューのあるフードコートは人気で、外食を提案すると子供たちからは「フードコートに行きたい」という声が増えているようです。

 我が家の4人でフードコート行くと、誰ひとり同じメニューは食べていない現実もあります。「家族で同じ鍋を囲む」というような同じ食事をすることが、徐々に減ってきているようです。

 近頃は、フードコートの進化系である「フードホール」が大都市圏を中心に人気を博しています。フードコートが郊外のショッピングモールにあるのに対して、フードホールは駅近の商業施設にあることも多く、大丸心斎橋店の「心斎橋フードホール」や新宿駅直結の「NEWoMan Food Hall(ニュウマン・フードホール)」など駅直結の店舗が盛況です。

 ワインなどアルコールもあり、大人を対象にしている事が多く、肉バル、高級寿司、トリュフ専門店など他であまり食べられない希少性と大人の味覚を刺激する場所となっています。平日の昼間にはちょっと贅沢なシニアの社交場となっていたりします。

 都心の郊外ターミナル駅のマルイファミリー溝の口店(川崎市)では、駅コンコースから直結しているフードホール「HARA8(はらっぱ)」が若いファミリーや単身者で賑わいをみせています。昨年末に出店した「牛カツ京都勝牛」などの人気店が軒を揃え、「わたしにぴったりをかなえる」を掲げたコンセプトは、自宅の近所で専門店の味を日常の食事としてとれ、多様化とパーソナライズ化の食の2つの流れに合致しています。

 また、フードホールは配膳・片付けをお客自身がセルフ対応で行うことにより、人手不足にも対応する業態となっています。人の集まる歓楽街や駅近などで、新しいフードホールが形を進化させて益々増えていきそうです。

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