バレンタインが近づくと気になる都市伝説…チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出るって本当?

ドクター備忘録

松本 浩彦 松本 浩彦
あまりいっぱい食べると…よくありませんよ(paylessimages/stock.adobe.com)
あまりいっぱい食べると…よくありませんよ(paylessimages/stock.adobe.com)

 もうすぐバレンタイン。以前「鼻血の正しい止め方」についてご説明しましたが、今回はよく言われる「チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出る」という説について、医学的根拠を探ってみたいと思います。

 チョコレートを食べ過ぎると、血糖値が上昇して血圧も上がり、鼻の毛細血管が切れて鼻血が出るという説がありますが、健康な人がチョコを食べ過ぎても血糖値は上がるものの、血圧まで上がることはまずあり得ず、高血糖が直接的に鼻血を誘発する根拠もありません。

 チョコレートに含まれるカフェインには興奮作用がありますが、含まれる量からして、全身の血流を高めるほどの効果は期待できません。またチョコのカフェインが原因で鼻血が出るとしたら、同様にカフェインが含まれるコーヒーや緑茶、紅茶などを少し飲み過ぎるだけでも鼻血が出るはずです。

 チョコレートには、血圧や心拍数を上昇させる物質『チラミン』が含まれており、『チラミン』には、一時的に血管を収縮させた後に、再び拡張させる働きがあることから、これが鼻の血管に負担をかけて鼻血が出る可能性があるという、もっともらしい説があります。しかし、『チラミン』と鼻血の関係を調べた研究は古今東西見当たらず、はっきりしたことは分かっていません。

 結局、『チョコレートを食べると鼻血が出る』ことを医学的に説明することは困難でした。ただ、チョコは高カロリーですから太りやすく、特に子どもでは虫歯の原因にもなりますので、『食べ過ぎたら鼻血が出る』と諌められていたのが実情のようです。

 とはいえ何事もほどほどに。毎年チョコをたくさん貰っているという羨(うらや)ましい男性諸氏、食べ過ぎにはくれぐれもご注意ください。

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