交通量の多い幹線道路に横たわっていた黒猫 治療と家猫修行を経て幸せに

渡辺 陽 渡辺 陽

春の雨が激しく降りしきる日、交通量の多い道路に横たわっている黒猫がいた。偶然、2匹の保護猫を飼っている人の次男に発見され、一命を取り留める。入院して治療した後、里親が決まって幸せをつかんだ。

幹線道路にゴミのように横たわっていた黒猫

黒猫のちりおくんは、2018年4月、豪雨の中、大きな幹線道路に横たわっているところを発見された。東京都に住む松川さんの次男は、ちりおくんを最初に見た時、何か黒いゴミが落ちていると思い、車を道路脇に停めて取り除こうとした。ところが、近づいてみると、ごみではなく猫だったのだ。松川さんが慌てて駆け付け、保護した次男と合流し、猫を抱き上げ「大丈夫?」と問いかけると「ニャア」と鳴き、「病院に行こうか?」と問いかけると「ニャア」と、残っている力を振り絞るように鳴いた。

 動物病院に連れて行くと、ゴミだらけの身体から激しい異臭がし、1段の平ケージ(ヒラケージ)に入れられていたようで上下運動することができず、お尻と脚がこすれてタコができ、出血していた。脚力が弱くて歩くことができず、推定2歳だったが、体も小さく、片手の親指と人差し指でつまめるような体重だった。下痢がひどく、目もくぼんでいて治療が必要で、3週間ほど入院した。

 ちりおくんの家猫修行

松川さんは、黒猫の額の毛が、一束だけ長くクルンとカールしていたので、「ちりお」と名付けた。「持病がなければ里親を募集します」と書いて、毎日インスタグラムにちりおくんの様子をアップした。まだ入院中だったが、東京都に住む人が里親になりたいと言ってくれた。

 獣医師が、譲渡するなら体重を2kg以上にしないとだめだと言ったので、退院後は体重を増やすためにしっかり食べさせた。譲渡先は、階段のある家だったので、ちりおくんは歩行訓練をしながら、階段を上り下りする練習もした。

 ちりおくんは、日に日に元気を取り戻し、視力も残すことができた。

むさおくんに改名 お客様をお出迎え

発見から2カ月ほど経った6月30日、松川さんは、家猫修行を終えたちりおくんを、里親のNさんのところに連れて行った。

 ご夫婦とお子さんのいる家庭で、温かくちりおくんを迎えてくれた。Nさんは、頭のてっぺんにちょろんと生えた毛が可愛くて、可愛くて虜になってしまったという。

 ちりおくんは、ちりお改めむさおという名前になり、ひょろひょろの身体なのに、性格はマイペースでずぶとかった。Nさん宅に来た初日も、キャリーバッグのふたを開けた瞬間、「出てくるかしら」という周りの心配をよそに、すぐさまバッグから飛び出て、まっすぐに先住猫のごはんに突き進んだ。先住猫はシャーシャー威嚇したが、むさおくんは、体が弱っていて2階に上れなかったので、1階と2階で住み分けしたという。

 むさおくんは、人を怖がることがなく、来客があると、お客さんの布団に入って眠り、しっかりホストの役割を果たしている。

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