毎日が大喜利…ハイセンス父ちゃん弁当! 園児のため姉がデザイン→火山やシマウマ…父が再現

高野 英明 高野 英明
作品名「火山」。薄焼き卵で山、ちくわで噴煙、ベーコンで溶岩を表現した。
作品名「火山」。薄焼き卵で山、ちくわで噴煙、ベーコンで溶岩を表現した。

 幼稚園に通う弟のために、小学生の姉が弁当のデザインを考え、父が食材をうまく利用して忠実に再現する。しかも、父は著名な美術家。そんなハイセンスな「お父ちゃん弁当」の写真パネルが、京都市左京区の京都精華大ギャラリーで、12日まで展示されている。その「作品」たるや、火山にシマウマのお尻、はてはカンブリア紀の生物と、一筋縄でいかないものばかり。父子のコラボレーションに感心すること請け合いだ。

 「お父ちゃん弁当」を作ったのは、美術家で京都市立芸術大教授の小山田徹さん(57)。1984年、現代美術や建築、デザインなど多様なジャンルのアーティストが参加する「ダムタイプ」を京都で結成し、斬新な表現手法を取り入れた舞台芸術で国内外から高い評価を集めた。個人としても、参加者との対話や協力を重視したカフェやアートイベントを手がけるなど、幅広く活動している。

 小山田さんは、家族の朝食や弁当を作ってから大学に出勤するのが日課だ。末っ子の次男(6)が幼稚園に入った時も、自然な流れで弁当をこしらえるようになったという。

「顔作ったら」がきっかけ

 長女(10)の考案による「お父ちゃん弁当」が生まれたのは、ある朝の出来事がきっかけ。弁当の準備をしていた小山田さんに、長女が「きょうは顔を作ったら」と提案し、小山田さんの顔を紙に描いて渡した。感心した小山田さんが工夫を凝らして再現したところ、次男も喜んで完食した。それ以来、小山田さんは長女の「指示書」による弁当を250食ほど作った。

 小山田さんは「寝ぼけ眼の長女が5分くらいで指示書を書いた後、私が冷蔵庫にある食材を使って15~20分ほどで弁当を作っていました。毎日、落語の大喜利みたいでしたね。『えー、今日のお題はこれかあ』って。『こういう切り取り方をするのか』と驚かされることも多かった」と笑顔で振り返る。

 京都精華大のギャラリーに展示されているのは23点。長女の指示書と弁当の写真がセットになっている。たとえば、2017年3月7日の「火山」は、薄焼き卵で火山、ちくわで噴煙を表現。同年3月15日の「蛇行する川と三日月池」は、薄焼き卵で大地を、ほうれん草のソテーで川を、にんじんで三日月形の池を作り上げた。火山や川は、地学の本や図鑑が好きな長女からよくリクエストされたモチーフという。

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