佐藤二朗、未知なることを楽しむ50代「常に白いキャンバスでいる」

石井 隼人 石井 隼人
未知なることを楽しむ佐藤二朗(撮影・石井隼人)
未知なることを楽しむ佐藤二朗(撮影・石井隼人)

50代に突入しても、迷いがないどころか、迷わず新しい道を切り開いている。U-NEXT・カンテレで放送中の『「このミス」大賞ドラマシリーズ』に出演している、俳優の佐藤二朗(50)。

宝島社主催の第18回『このミステリーがすごい!』大賞内に新設された『U-NEXT・カンテレ賞』に特別審査員としても携わる。佐藤はシリーズ内でのドラマ化を前提とした同賞の作品選定を担う大役に初挑戦するわけだが、オファー快諾の理由を尋ねると「転がる石には苔が生えぬ」と故事が返ってきた。

番組プロデューサーから「世に出ていない原作を一緒に選んでくれないか」と打診を受けた際には「僕は特別審査員というガラではまったくないので、そういう意味ではお断りしたかった」とこそばゆい気持ちもあった。しかし映画監督としての顔も持つ佐藤は「まだ世に出ていない小説がどのようにドラマ化されていくのか、そのプロセスを見ることへの興味があった」と制作側の仕事に興味津々。何よりも「50歳で未知のことをやるのは楽しいと思った」と好奇心が背中を押した。

“未知のこと”といえば、50代突入直前に司会業に初挑戦したフジテレビ系クイズ番組「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」。初MCとは思えぬ、素人を相手にした佐藤の丁々発止のやり取りは好評だ。本業の俳優業でも個性派として重宝され、多忙の身。それにも関わらずフットワーク軽く、畑違いのジャンルにも飛び込んでいく。

自称“好奇心旺盛な8歳”の佐藤は「芸能界隈の仕事とは、安住や現状維持を目指す職業ではないと思っています。『転がる石には苔が生えぬ』という言葉がありますが、まさにソレ。人から『あなたの〇〇の部分を提供してほしい』と請われて、自分のやりたいことに近いのであれば、それを提供する。そこから何か生まれるかもしれない。それもご機嫌な人生ですよね」と保身からほど遠い考え方を持つ。

その起点にあるのは後輩俳優たちの活発さ。俳優・監督・プロデューサー・歌手と多様な顔を持つ山田孝之(35)から特に刺激を受けた。「山田孝之と一緒にミュージカルをやったときに、僕は初めての挑戦でちょっとビビっていた。そうしたら孝之が『僕は“こいつには無理だろ”ということに挑んで、世間を驚かせたいという気持ちがある』と言ったんです。自分よりも一回りも下のヤツがそんなことを思っているのに…。先輩である俺がチャレンジしないのはイカンと思ったわけです」。

新しい物事と向き合う際の心構えは「常に白いキャンバスでいること」。バシッと決めた凛々しいセリフに「これ恥ずかしいな!どうした俺!」と赤面の佐藤だが「白いからこそ、ある監督は黒く塗りたいと思うだろうし、ある監督は違う色に塗りたいと思う。なるべく白い状態でいようとするからこそ、新しいことに挑戦してもなんとかやっていけるのかなぁと。全然器用ではないですから。令和50代、芝居はなるべく真摯に精神年齢はなるべく低く」とユーモアを交えつつも真剣な面持ち。“転がる石”の行方を誰よりも楽しんで見ているのは、佐藤自身だったりする。

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