座り続けるシリア人妊婦に声かけ病院へ 友情産んだ一言とは

京都新聞社 京都新聞社
ゲゼイエルさんの息子のザイドちゃんを抱いて、笑顔を見せる中村さん(八幡市男山・男山団地)
ゲゼイエルさんの息子のザイドちゃんを抱いて、笑顔を見せる中村さん(八幡市男山・男山団地)

  京都府八幡市男山の男山団地で住民の交流活動に取り組んできた京都市出身の会社員中村穂希さん(25)=大阪市中央区=が、日本語を話せない八幡市在住のシリア人女性と親交を深めている。病院の付き添いや行政手続きを手伝うなどして生活を支え、「ちょっと話しかけるだけでもいい」と地域での親交の広がりを期待する。

 中村さんは、男山団地で活動していた昨年5月、バスに乗らずにベンチに座り続けるマラム・ゲゼイエルさん(23)に気付き、「何をしてるの」と片言の英語で話しかけた。ゲゼイエルさんは妊娠中で、産婦人科が分からなかったという。

 中村さんは近くの病院へ案内し、母子健康手帳の取得も手伝った。昨年11月に無事男児ザイドちゃんが生まれ、「家族みたいな感動があった」。市内で働くゲゼイエルさんの夫も日本語が不得手で、その後も、市役所や病院で英訳を手伝ったり、市や保育園から届く日本語の案内文を説明したりして、橋渡しを続けた。

 ゲゼイエルさんは「とても親切で、良い友だち。日本人は優しい」と喜ぶ。内戦状態のシリアに戻るのは難しいが、「日本が好き。ここにずっといたい。手芸の仕事をしたい」といい、日本語教室に通っている。

 八幡市は外国籍市民が増え、今年2月末時点で45カ国・地域の1269人が住む。中村さんは「あいさつとかでフランクに接して、受け入れていると示すことが、この地域では大切だと思う」と力を込める。

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