酷暑の土手に捨てられ、草も食べていた子猫 譲渡先が見つからず川に戻したらとも言われ…

渡辺 陽 渡辺 陽

 2018年の夏は、日中、外に出ると危険と言われるような酷暑だった。そんな暑い日が続くさなか、一匹の子猫が東京の荒川の土手に捨てられていた。

川沿いの土手に捨てられていた子猫

 2018年8月某日、早朝からギラギラと太陽が照りつけ、気温がぐんぐん上昇していた。保護主が東京の荒川沿いをランニングしていると、土手のところに1匹の子猫がいた。母猫や兄弟猫は見当たらず、推定生後2カ月、たった1匹でいて、やせてはいなかったので、誰かが捨てたと考えられている。お腹が空いたのか、土手では草も食べていたようだった。

 保護主は、ひとまず安全な場所に避難させようと、子猫をマンションに連れ帰り日陰で涼ませた。保護主は既に1匹の猫を飼っていて、マンションの管理規約では1匹までしかペットを飼えないので、長期に渡って猫を保護することはできないと思ったという。

譲渡先が見つからないなら、荒川に戻して

 東京都に住む町井さん夫妻は、新婚の頃から猫カフェに行ったり、譲渡会やペットショップに行ったりしていた。その時は「どんな子がいるのかな」「いつか飼えたらいいのにな」と思う程度だった。
 夫妻は、新婚旅行にも行っていなかったので、長期の旅行に行って、来年の春くらいに産まれた子猫を飼おうかと言っていたところだった。

 保護主は、マンションの管理人から「譲渡先が見つからないなら荒川に戻してきたら」と言われて困っていたのだが、町井さんが猫を飼いたいと言っていたことを思い出し、子猫の写真を送った。

 写真を見ると、猫風邪をひいていたからか少し顔がやせていた。すぐに飼うつもりはなかったので少しとまどったが、8月末、町井さん夫妻は、ひとまず会いに行こうかと保護主宅に向かった。子猫はまったく人見知りしない子で、町井さん夫妻の膝や肩に乗ってきた。
 「主人は猫を飼ったことがなかったので、すぐに連れて帰りたいと言ったのですが、まったく準備をしていなかったので、その日は帰って、9月8日に迎えたんです。名前はソラにしました」

甘えん坊のソラちゃん

 ソラちゃんは、猫風邪がなかなか治らなくて通院したが、保護主が看護師だったので、ソラちゃんの通院や薬の記録を非常に分かりやすくまとめていた。新しい動物病院の獣医師に説明するのに役立ったという。

 環境が変わっても平気で、キャリーから出てくると、体を低くする気配もなく、平気で歩いたり、おもちゃで遊んだりした。

 「家にいるとストーカー状態で、ずっとついてまわっているんです。お風呂に入っている時も、半分蓋を閉めているのですが、その上に乗って待っていたり、脱衣所で待っていたりします。トイレにもついてくるし、普段は膝の上に乗っていることが多いです」

 とても甘えん坊のソラちゃん。フルート奏者の奥さんが一週間、ヨーロッパに行っていた時、ご主人が帰宅すると、「ママはどこ?」と探していたそうだ。

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