飼い猫が隣の車に乗って傷を付けた!飼い主の法的責任は?

北村 晴男 北村 晴男
車のボンネットでくつろぐ猫
車のボンネットでくつろぐ猫

 ネット上にはかわいらしい猫の動画があふれている。猫パンチを繰り出す子猫の動画はしばし癒されるほどかわいい。しかし、猫には鋭いツメもあり、小さいけれど牙もある。人や、人が大切にしているモノを傷つけることは十分にある。もし、購入したばかりの新車のボンネットに隣家の猫が乗り歩き、傷を付けられたらと思うとだれもが心中、穏やかではいられないだろう。日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に、飼い主が負う法的責任について尋ねた。

飼い主には明確な法的責任

 北村弁護士は「ペットの占有者は、ペットが第三者に与えた損害を賠償する責任があります」と飼い主には明確な法的責任があることを述べた。

 動物の占有者等の責任について民法718条に規定され「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類および性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない」と明記されている。

 加えて北村弁護士は、故意または過失によって他人に損害を与えた通常の不法行為と、ペットによる損害との大きな違いを指摘。前者であれば、被害者側が加害者(飼い主)の故意または過失を立証しなければならない。しかし、後者の場合は立証責任が逆転し、被害者側ではなく飼い主側が「相当な注意を払っていたこと、つまり過失がないこと」を立証しなければ責任は免れられない。

 「相当な注意」とはどの程度のものなのか。北村弁護士は「判例では、通常払うべき程度の注意義務としています」と述べ、一見簡単そうに聞こえるものの実際はかなりハードルが高いことを合わせて指摘した。どういうことか。

 猫とはツメや牙を持つ動物であり、それらで人やモノを引っかく、かむということは当然、予想される。にも関わらず放し飼いにし、結果、第三者や第三者の所有物を傷つけたとなれば、「飼い主が相当な注意を払ったとは認められにくいでしょう」と北村弁護士は見解を示した。

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