エジプトで発見!芸術的に加工された日本の硬貨…弁護士に聞くと「違法で持ち帰れません」

川上 隆宏 川上 隆宏

 世界一周旅行中の男性が、エジプトのコイン屋さんで、日本の硬貨が絵や文字の部分を残して、くり抜かれて販売されているのを発見。Twitterに投稿したところ、その美しさにネットが騒然としています。「なにこれかっこいい!」「新鮮な発想だ」といったコメントが相次いでいますが…そりゃそうです。こんな硬貨を使った造形、日本国内では見ることはありません。だって、違法なんですもの…。弁護士さんに確認すると、国内に持ち込むこともまかりならないとか。ああ、これぞ一種、背徳的な美しさ。本当の芸術は一線を越えたところにしか存在しないのかしら…。

 投稿したのは「よしかわ」(@yoshikawa____36)さんです。大学を休学してロンドンに留学していましたが、4月14日から世界一周の旅に出発。4カ国目となるエジプトの観光地を訪れている際に「エジプトのダハブで見つけたコイン屋さんが凄かった件」としてツイートしました。「コインを洗い、柄以外の部分をくり抜いて販売されていたのですが、非常に斬新で美しく、久しぶりにグッとくるものを見ました」。一緒にアップされた5円、10円、50円、100円硬貨の画像は、稲穂、常盤木、菊、桜の絵が浮かび上がるように、背景部分が削り落とされています。エキゾチックに輝くお店の雰囲気と相まって、とても繊細な造形のように感じられます。

 一方、「店主の方は日本では違法なこともご存知でした。笑」とし、日本に持って帰ることができないと紹介。投稿の返信欄には残念がる声があふれました。「よしかわ」さん自身も、違法であることはもともと知っていたそうですが、過去の裁判例などを引用しながら、なんとか日本に持ち帰る方法がないかと呼びかけると、「(持ち帰ると)日本ではかなりの重罪」など、多くの人たちから解説が寄せられていました。

 …しかし、本当に持って帰ることができないのでしょうか。あらためて弁護士法人・響の藤田圭介弁護士に聞きました。

  ◇  ◇

 ー投稿された方が見つけた、美しく削られた硬貨。本当に日本に持ち帰れないのでしょうか。

 「海外で加工された日本通貨は、関税法69条の11・6号の「貨幣」の「変造品」にあたるので、輸入は禁止されています。実際、海外で加工した日本の五百円硬貨等をマジックのタネとして、販売目的で日本に持ち込もうとしたマジシャンらが関税法で摘発されたという最高裁判例もあります(最判平成19年(あ)2066)。ですので、海外から加工された硬貨を持ち帰ることは違法です」

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