財布を拾った→謝礼はどうなる? 元警察官に聞いた、落とし物にまつわる手続きと「意外な事実」

長澤 芳子 長澤 芳子

拾ったお財布を警察に届けて、もしも落とし主が見つかった場合、一割の謝礼を受け取れるという話は有名です。しかし、落とした財布を拾う機会が少ないことから、本当に貰えるのか、どんな手続きが必要なのかなど、知っている人は多くないでしょう。そこで、警察署ではどのような手続きをするのか?実際に落とし主からお礼を受け取る人はどれくらいいるのか?など、気になるポイントを千葉県で勤務していた元警察官に聞いてみました。

ーお金の入った財布を拾って交番に届けると、どのような手続きがおこなわれるのでしょうか?

まずは拾得(しゅうとく)届出の事務手続きで、ご自身の住所、氏名、電話番号、いつどこで拾ったのか、お財布を届けた人の情報(名前や住所)を、落とし主が現れた場合にお知らせしていいかを書類に記入してもらいます。

ーたしかに拾った場所の日時や場所の情報は重要ですね。では、謝礼を要求する人の割合は、どれくらいでしょうか?

千葉県で私が最後に勤務した市では、ほとんど請求されませんでした。

ー少し意外ですね。ちなみに受け取れる謝礼の割合は、決まっているのですか?

5%から20%が請求できる金額で、警察に届けに行くためにかかった費用も別に請求可能です。

ー謝礼の割合は一律ではないのですね。それでは、保管期限である3カ月後に、持ち主が判明しなかった場合はどうなるのでしょうか?

警察から拾ってくれた人への連絡はしていません。もしも補完期限が過ぎたお財布を引き取りたい場合は、ご自身で警察に問い合わせをする必要があります。

ーでは、落とし主から連絡があった場合、謝礼の受け取りまでどのような流れで手続きをするのでしょうか?

謝礼は、落とし主と拾った人の双方の話し合いで決めますので、警察が何か介入することはありません。

もしも落とし主が現れた際は、お財布が本当に落とし主の物か確認をおこないます。その後お財布は落とし主に返され、お財布を拾った人の個人情報が落とし主に伝えられます。

ここで伝えられる個人情報は、最初の拾得手続きをおこなった際に記入した個人情報であり、もしも個人情報を伝えるのを拒否している場合は、一切伝えることはありません。

おそらく、落とし主に拾得者の個人情報が伝わるのが嫌な人が多いことから、謝礼を請求する人が少なくなったと思われます。

   ◇   ◇

謝礼にまつわるやり取りについては、SNS上でも「見ず知らずの人に個人情報知られるの普通に無理」「拾い主の住所を落とし主に渡しちゃうの?」とお財布を拾った際の個人情報の扱いについて危惧している人の声があがっている一方、「困った時はお互い様だよね」と謝礼を望まず届ける人や「お礼をしたいけど、どこの人か分からないのでもし届くなら届いて」など、直接感謝を伝えたり謝礼を払いたいという声も少なくありません。

なお、落とした財布が見つからず、財布ごと盗まれてしまうケースも散見されます。しかし、落とし物をそのまま私物化してしまう行為は犯罪です。たとえ交番に届けた後の手続きが面倒であっても財布などを拾った時は、警察に届けるようにしましょう。

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