「じゃこが大きくなったら何になる?」…「給食クイズ」に子どもたちワクワク 栄養教諭の思いは「人を良くすると書いて食」

京都新聞社 京都新聞社

 「じゃこが大きくなったら何になるでしょう」。京都教育大付属京都小中(京都市北区)では給食の時間になると、教室のモニターにその日の献立にまつわるクイズが発表され、子どもたちが目を輝かせて考える。

 仕掛け人は栄養教諭の木村元秋さん(40)=京都市中京区。2023年春に同校に着任した。3年前まで実家の建築会社で働いていたが、大学院で学んだ栄養学の知識や資格を生かしたいと転職した。「給食は実物が出せる最強の教材。献立に合わせて伝えたいことを自由に伝えられる」と話す。

 昨年9月に始めた給食クイズは、花の写真から野菜の種類を問うたり、新鮮なイワシの見分け方、紫キャベツの汁に酢を加えた時の色の変化を尋ねたりとさまざま。「自ら進んで調べたくなる楽しいものにしたい。自分がわくわくしたことをクイズにしています」

 学校での挑戦はクイズにとどまらない。給食室前の大瓶の中ではゆでた大豆などが発酵し、しょうゆ造りの真っ最中。子どもたちに人気の「つくってみようシリーズ」の一つだ。児童は、しょうゆだけでなく高野豆腐や梅干しができる様子も観察してきた。ユニークな食育は保護者にも伝わり、京都新聞社に手紙が届いた。「先生に出会って子ども2人が食に関する本を読みあさるようになった」

 クイズなどをきっかけに独自に食育を深めるクラスも。好きな献立の工作や作文を展示したり、アフリカの子どもたちの食糧事情を伝えて食品ロスの問題を考える授業をしたりしている。

 料理好きになった児童はハンバーグや焼きおにぎり、クレープを家族にふるまった。「ありがとうと言われ、さらに料理が楽しくなった」とはにかむ。食べ残しが減ったという児童もいた。

 木村さん自身も小学校の栄養士に影響を受け、食を身近に感じるようになったという。「食は生きるために必要な営みですが、それだけでなく、好奇心に火を付け、人間関係を深め、命の尊さを教えてくれます。人を良くすると書いて食。より豊かな人生を過ごせるよう導きたい」

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