ドライヤーのコードから火花がバチッって…よくあること!? 6割の人が知らない「保管方法」、国民生活センターに聞いた

谷町 邦子 谷町 邦子

ドライヤーを使っている最中に火花が! 日常に突如として起こった衝撃を漫画で描いた投稿者に当時の状況を取材。ドライヤーの安全な保管方法、事故時の対処法について「国民生活センター」に聞きました。

漫画で描かれているのは、投稿者のtoi(@toin_s9)さんがドライヤーで髪を乾かそうとしていたら、急に温風が停まったときのこと。怪訝に思いながらドライヤーを見ていると、コードの本体に近い部分から突然火花が出ました。炎はすぐに消えたものの、toiさんは驚きと恐怖のあまりしばらく動くことができませんでした。

使っていたドライヤーについて検索すると、「1年で火花を出してこわれました」「耐久性ありません」「根元から火が出てとまりました」などの口コミが。とは言え、人気ブランドのもので、投稿は「星5のコメントもたくさんあったので、使い方が悪かったのか一部製品に不良があったのかは定かではないです」と締めくくられています。

「怖くてドライヤー動かせないの分かります」「怖すぎます 機械類は要注意ですね」「私も同じこと起こりました。皮膚にコードついてたので熱かったです…怖いですよね」など共感の声がよせられていました。身近な家電であるからこそ、急な事故には日常を脅かされるような恐ろしさを感じますね。そこで、toiさんに詳細をたずねました。

「風量、音などいつも通りだった」

ドライヤーは購入から2年ほど経っていたそうですが、それまで特に異常はなかったと言うtoiさん。「風量、音などいつも通りだったので、火花にとても驚いたのを覚えています」。

ドライヤーは本体に巻きつけて保管すると、付け根に繰り返し負荷がかかることでコードが損傷する場合があり、電源コードの断線、ショートから発熱、発煙、発火、火花につながる恐れがあるとされ、「国民生活センター」は注意を促しています。しかし、toiさんは、「ドライヤーに付属されていた面ファスナーでコードをまとめていました」と気をつけていたとのこと。

「私は幸いケガなどありませんでしたが、顔や髪に火花が飛んでいたらと思うととても恐ろしい気持ちになります。みなさんも取り扱いにはぜひお気をつけください!」と注意喚起のメッセージを送ってくれました。

本体にコードを巻きつけず、付属品でまとめて保管した場合にも発火することはあるのでしょうか。消費生活相談や商品テストなどに取り組む「国民生活センター」商品テスト部の梅澤さんにたずねました。

「収納の際は、電源コードが急角度で曲がらないように」

梅澤さん曰く、ドライヤー関連で寄せられる危害・危険に関わる相談のうち、発煙や発火、火花などの割合が多い傾向にあるとのこと。本体にコードを巻き付けるのではなく、面ファスナーでまとめているなど、ねじれが起こらない状態であっても、発火してしまうことも。

「例えば購入時に束ねてあった状態に毎回戻しているなど、電源コードの屈曲が繰り返されると、屈曲のきつい部分で内部断線し、同様の事故に繋がることが考えられます」

万が一、ドライヤーから発火してしまった場合は、「落ち着いて電源プラグを抜き、周囲に燃えやすいものがない場所へ置くか、火が燻っているようであれば水をかけて消火してください」とのこと。

一度発火してしまったドライヤーは事故の程度によっては修理可能な場合もあります。自己判断せず製造元などに修理依頼をして判断を仰ぐのが正しい対処方法だと言いますが……。

「修理の場合、個別対応を行うため、思っているより高額になることも考えられます。心機一転、新しいドライヤーを購入すると言うのも一つの手段です」

最後に、なるべく長く安全にドライヤーを使う方法を教えてもらいました。

「ドライヤーは、使用頻度が高く、色々な角度で利用したりするため、どうしても電源コードに負担がかかります。収納の際は、電源コードが急角度で曲がらないようにし、フワッとまとめるようにお願いします。また、使用していて、コードや本体の動作の異常など、いつもと違う点に気づいたら、放置せずに修理や買い替えを検討してください」

コードがよじれていた、変色していた…危険信号は?

ドライヤーは日々使うものですが、「国民生活センター」への事故相談は多いそうで、2011年度から2016年度にかけて、「コードの付け根から火花が出てやけどをした」「髪の毛が吸い込まれて取れなくなり、はさみで切った」など、ヘアドライヤーの危害・危険に関する内容は366件もあったそう(「ヘアドライヤーの取り扱いに注意 ―発火、火花の発生によるやけどや、髪の毛が吸い込まれて抜けなくなることも―」より)。

そのうち発煙、発火、火花の発生などについての相談は305件で、毎年危害・危険に関する相談の約8~9割に当たる件数だったそうです。

2016年に実施した、普段ドライヤーを使用する15~79歳までの男女各1000名を対象とした調査では、取扱説明書などに記載されている注意・警告事項のひとつ、「コードを本体に巻き付けない」については、約6割の人が知らなかったと回答していました。

実際に発煙、発火、火花が出たという人の約7割が「コードがよじれていた」「コードの一部に他より熱くなっている箇所があった」「コードの被覆が変色している箇所があった」「使用中にヘアドライヤーを動かすと、風量が変わったり、止まったりすることがあった」など、コードや本体の動作などの異常に気づいていても使い続けていたことがわかっています。

ドライヤーを使った後は、本体に巻きつけるだけでなく、折り曲げて束ねるのも避け、丸く輪っか状にするなど曲げないまとめ方で、安全に収納したいですね。

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「国民生活センター」では、このような広く消費生活における様々な商品や相談に関する注意喚起や事例の紹介を実施。YouTubeでも身近な商品の事故事例や悪質商法に関する啓発アニメなど動画でわかりやすく伝わるように発信しています。

■toin_s9(toi)さんのInstagramアカウント https://www.instagram.com/toin_s9/
■国民生活センター 公式サイト https://www.kokusen.go.jp
■国民生活センター 公式YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@kokusen_ncac_JAPAN 

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