大阪人からLINE「あとは日にち薬ですね」これ、どういう意味?SNSで「方言なの!?」と驚きの声 識者に聞いた

門倉 早希 門倉 早希

「大阪の友人からのLINEに『あとは日にち薬ですね』とあり、最初は入力ミスかと思った。が、当てはまる言葉が思いつかないので『日にち薬』で検索。関西でよく使われる言葉らしい。お恥ずかしながら知らんかった。良い言葉だな」

関西ではよく聞く「日にち薬」という言葉が、X(旧Twitter)で注目を集めているようです。「日にち薬」とは、時間の経過が自然に薬のように治してくれるという意味の言葉で、ケガや病気のときや、落ち込んだ人を励ます際によく使われる印象です。

福岡出身、関東住まい…「初めて知った」

冒頭の投稿をしたXユーザーのこけし山田さん(@kokeshiyamada/以下山田さん)は福岡県出身であり、社会人になってから大阪に2年半、それからは関東圏に住んでいるといいます。「日にち薬」という言葉を聞いたのは友人からのメッセージが初めてで、「大阪に友人がいて年に数回遊びに行ったりLINEでやり取りしてるのに、今まで日にち薬(という言葉)に遭遇しなかったことに驚きました」と語ります。

投稿には「関西育ちでずっと使ってた。日にち薬って方言なの!?」「確かに関東ではあまり聞かない」「東北出身だけど使います」「時薬って言うかも。意味は一緒」などさまざまな声が。6000以上もリポストあるいは引用リポストされるなど、多くの人の関心を集めているようです。

山田さんは投稿について、「引用されたツイートを見ていると、この言葉を知ってる人が『全国的な言葉じゃなかったのか!』と驚いているものが多かったように感じます」と語っています。

専門家「京都や大阪から各地に伝わったのでは」

「日にち薬」は関西地方特有の方言なのでしょうか。日本語学を専門とする、神戸女子大学文学部の橋本礼子教授にお話を聞きました。

「月日を経ることで薬のように癒してくれるという発想としては、関西に限らず全国的に使われる言い回しだと思いますが、『日にち薬』という言い方自体は関西弁にあたると思います」と橋本教授。「言葉の発祥自体は分からないが」と前置きしつつも、大阪や京都など各地の方言辞典で見出しとして紹介されている言葉だと教えてくれました。

投稿のコメント欄で見られたほかの地域での使用例については、「大阪や京都などの地域と密に交流があった場所で徐々に使われるようになり、そこから全国的に広まっていったのではないでしょうか」と推測します。

さらに、「あとは時間の経過が心身を癒やしてくれるというような発想は、励ましや慰めの表現として他地域にもいろいろな言い回しがあってもおかしくないと思います。『日にち薬』のような名詞にまでなっているのは京都や大阪のあたりだけかもしれませんが、似たような発想の言い回しはいろいろありそうですね」(橋本教授)。

山田さんの投稿でコメントされていた「時薬」「時間薬」など、「日にち薬」と同じ意味を持つ言葉については、橋本教授の言う通り、それぞれの地域で同じような言葉が生み出されたのかもしれません。

「知っていた」が半数も…

また、山田さんは投稿の反響を受けて、ポストに続ける形でXの機能を利用したアンケートを実施。「日にち薬・時薬という言葉を知っていましたか」と、4択で回答を募ったところ、結果は「日にち薬のみ(知っていた)」が47.7%で約半数にのぼり、次いで「どっちも知らなかった」30.3%、「どっちも知ってた」17.3%、「時薬のみ(知っていた)」4.7%という結果になりました(投票数6712票)。

アンケートの結果から察するに、全国的とまではいかずとも言葉としては広く知られているのかもしれません。山田さんは、「私と同様に知らなかった方からの反応が少なめでした。したがって、アンケート結果にもそれが反映されていると考えました」と考察しています。

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