フォロワー数増えると、日本各地から祝福の声…その理由は? 島の人口の約44倍になったSNSのPR術

谷町 邦子 谷町 邦子

 X(旧Twitter)上のフォロワー数が日本各地の自治体数に達したことを投稿し喜びの声で盛り上がっているのは、ナウル共和国政府観光局日本事務所のアカウント「ナウル共和国政府観光局(公式)」(以下、ナウル共和国政府観光局)。投稿理由を中の人にたずねました。

「ナウル共和国」は太平洋南西部に浮かぶ島国で、面積は東京都品川区とほぼ同じ21.1平方キロメートル、世界一小さな共和国と言われています。ニュースなどで取り上げられることが少なく、日本人には馴染みが少ないであろう国ですが、同公式アカウントによる投稿は反響が大きく、X上ではおなじみの存在となっています。

8月29日の投稿では、金沢大学の位置が記載された「金沢市とナウル共和国の面積を急に比べなければならなくなった時に役立つ地図」の写真と、「金沢市の面積はナウル22個分」であるという情報を投稿。すると商品化のリクエストが多く届いたため「ナウル金沢友好缶バッジ」(800円)をBASEオンラインショップ「ナウル屋」で予約販売し、大変好評となりました(他のバッジとともに10月再販予定)。

「ナウル共和国政府観光局」は一体どんな思いで情報発信をしているのか聞きました。

「日本の各地域の方々にもナウル共和国を覚えてもらおう」

日本に同事務所を構え、X(旧Twitter)のアカウントは2020年10月というコロナ禍真っ只中に開設され、運営するのは5人程度。Xでの情報発信については、「今のところ日本のみで積極的な運用をおこなっています。フォロワー数は同国の大統領や政府に伝えています」。

ナウルの魅力を発信するだけではなく、日本の時事に触れたり、フォロワーとの楽しいやり取りも繰り広げてきたりした同アカウント。ナウル全体の人口が1万2511人(2021年、世界銀行が調査)、金沢市は人口は45万8217人と考えるとかなりの影響力があるアカウントへと成長しています。

比較対象として、他国の駐日政府観光局、日本の農林水産省、法務省などのアカウントのフォロワー数との比較で表現。そして、日本の自治体で表現するようになったのは、「細かい日時は記憶にありませんが、日本の各地域の方々にもナウル共和国を覚えてもらおうという趣旨で、不定期で実施」しているとのこと。

今回の発表では、県内外から祝福の声が届いたほか、金沢市交通政策課(@kana_koutsuu)からの「おめでとうございます! 金沢市役所の交通政策課からお祝い申し上げます。この機会に金沢市との絆が深まることを祈っています」、市内で営業するひまわりチェーンぬか店(@himawarinuka)からの「おめでとうございます金沢市内の小さなスーパーよりお祝い申し上げます」との祝福に、「ありがとうナウル島」とフランクに答えていました。

これまで、東京都町田市や千葉県柏市、神奈川県藤沢市や大阪府豊中市、新潟県長岡市、富山県富山市など、さまざまな自治体の人口とともにフォロワー数を発表してきたのですが、現時点では「群馬県高崎市をご紹介した時(2022年10月20日投稿)が最も反響が大きい印象です」と言います。

そしてどうやら、広島県福山市に向けて準備中(9月11日時点)のようで、福山市に関連している人を積極的にフォローバックし、すでに感づいている人は「きましたね」「出身地なのでうれしすぎます」と早くも喜びの声があがっています。

◇ ◇

SNSでフォロワー数が増えたことを発信するたびに好意的なコメントが寄せられていることから、遠くの国を応援している間に親近感を覚えている人も少なくないのかもしれません。ちなみに直行便は飛んでいないものの、2022年度は「2022年度のナウルへの日本人渡航者数は3人と判明。前年度比3人増となった」そう。今後、日本からナウルを訪れる人も増えていくといいですね。

■ナウル共和国政府観光局(公式)(@nauru_japan)のXアカウント https://twitter.com/nauru_japan
■ナウル共和国政府観光局日本事務所 https://nauru.or.jp/
■BASEオンラインショップ「ナウル屋」 https://nauru.base.shop/
■外務省 ナウル共和国(Republic of Nauru)基礎データ https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nauru/data.htm

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