子猫が虐待死か?…横隔膜が破裂、誰かにお腹を強く蹴られた痕 現場近くでは、大ケガの猫の保護が相次ぐ

渡辺 晴子 渡辺 晴子

千葉県北西部で8月末、とあるアパートの前で倒れている意識不明の子猫が見つかりました。地元のボランティアが保護し、動物病院に連れて行きましたが、間もなく死亡。生後2カ月から3カ月ほどの子猫でした。ボランティアや獣医師らによると、死んだ子猫は横隔膜が破裂するなどの大けがを負い、誰かにお腹を強く蹴られ虐待された可能性が高いといいます。そこで警察に被害届を出したそうです。

さらに数日前、そのアパートの近くで別のボランティアAさんが犬歯の折れた子猫を保護しました。意識不明の子猫を保護したボランティアの仲間というAさん。

「犬歯の折れた子は今まで一度も見かけたことがなく、突然1匹で現れました。どこからか逃げてきたのか、捨てられたのか分かりませんが…ただ、意識不明の子猫が見つかった場所のすぐ近くだったこともあり、私が保護した子猫も虐待されたのではないかと頭をよぎりました。 

実は、8月に入ってから、私の活動するエリアで虐待の疑われる猫を保護しています。証拠がないので、虐待とは言い切れないものの、けがをする猫が相次いで見つかるのは異常な事態だと感じます。これからも仲間のボランティアとともにパトロールの強化をしていくつもりです」と話します。

8月、子猫が倒れいてた現場近くで犬歯が折れた子猫や尻尾が切れた猫などが見つかる

Aさんによると、犬歯が折れた子猫を保護した翌日、現場をパトロールしたところ、餌やり場が荒らされ子猫の毛が散乱していたり、爪も落ちていたりしていたとのこと。何者かが餌やり場にいた子猫を連れ去った可能性もあり、犬歯が折れた子猫のことも含め警察に相談しているといいます。 

この現場では、8月上旬ごろ、尻尾にけがを負った猫と脇腹に切り傷を負った子猫の2匹が見つかりました。Aさんが2匹を保護。1匹の猫は、1、2歳くらいのキジ白猫(雌)です。長い尻尾がきれいに切断されたようになっていました。尻尾はけがの状態が悪かったため、尻尾の付け根から断尾する手術を病院で実施。今は、少しずつ傷口も回復に向かっているそうです。

「かかりつけの獣医師さんにも動画などを見て確認していただきました。皮膚がただれており、何か薬品のようなものをかけられた可能性もあるといわれましたが…やはり確証がないので、虐待とは断定されませんでした。また、尻尾をけがした猫は4匹の子猫を産んで育てていた母猫なのですが、けがをした母猫を見つけた際、子猫たちがいなくなっていまして。今も探していますが、車にひかれたのかカラスに襲われてしまったのか。目撃情報もなく、とても心配です」

さらに、保護されたもう1匹の脇腹に切り傷を負った子猫は、生後3カ月くらいの白茶柄の猫(雄)です。AさんがTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻す)の活動をしていたところ、その際に仕掛けた捕獲器に入っていました。

「子猫は捕獲器に入った当日に初めて出会いました。見かけない猫です。傷の状況から、獣医師さんによると、人に切られたかもしれないし、猫同士のケンカかもしれないし、ガラスで切れたのかもしれないなどといろいろな可能性があるとのことでした。ただ、傷は深く、けがを負ってから日数が経過していたようで皮膚がぐちゃぐちゃになり縫合ができず、飲み薬による治療となりました。現在、預かりボランティアさんの所で傷が治るまで預かっていただいております」

いずれの猫もけがの状態はひどく、証拠はないものの虐待を疑われる事案だといいます。

昨年から千葉・北西部で虐待が疑われる猫が相次ぐ 首に大ケガや片脚の骨がむき出しになった猫など…

昨年から虐待が疑われる猫の保護が続いているというAさん。8月末に保護した犬歯が折れた子猫で7匹目だそうです。

「これまでに首に大けがをした子や、トラバサミのようなもので片脚が挟まり骨がむき出しになったり、片脚がわなのようなものに挟まって壊死したりして断脚した子たち、母猫と同様に断尾した子などを保護しました。里親さんのところで幸せになっている子もいますが、譲渡せず私がお世話をしている子もいます。 

首に大けがをしたキジ白猫は今も治療中で、保護当時は体重も2キロしかなく、命に関わるほどの状態だったんです。体の側面にはタバコを押し付けられたような跡もあり、本当にかわいそうで…でも、今は体重も増え、やっとシャンプーも出来るほど回復してきました」

そんな大きなけがを負ってきた猫たちのことを見守ってきたAさんは、こう訴えます。

「どの子も保護してから医療にかけ、数日以内に警察署に行き被害届とともに写真などを提出しています。ただ確証がない、獣医の見解も含めて報告しており、虐待の可能性もありますが、もしかすると単なるけがかもしれない旨もきちんと警察には伝えました。ただ、私たちが活動しているエリアでこれだけひどいけがを負った猫たちに出会うと、証拠はありませんが、誰かが故意的に危害を加えたのではないかと感じています。

もし周囲でけがをしている子がいたら手を差し伸べてほしいです。猫ちゃんに限らず、人間以外の動物さんたちは私たちとは会話ができません。助けてほしくても助けてとは言えない。痛くても痛いとは言えない。外の過酷な環境の中で生活し、短い生涯のこの子達の命の重さ、大きさ、価値は人間と平等なのです。明らかな虐待行為の可能性が高いときは迷わず警察へ相談していただきたいです。今回仲間のボランティアが見つけた子猫は死んでしまいましたが…虐待の可能性が極めて高いとのこと。早く犯人が捕まってほしいと思っています」

Aさんによると、昨年保護し断尾した猫は、人間が怖くて威嚇がすごかったとのこと。しかし、1年以上かけてゆっくりと心のケアをしながら接しているうちに、Aさんの顔をスリスリして甘えてきたり、寝ているときも寄ってきてくっついてきたりと、今は別猫のようだといいます。

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