旭川の女子中学生イジメ凍死事件、元校長の被害者への信じられない反応とは?小川泰平氏が直撃

小川 泰平 小川 泰平

 今年3月23日、北海道旭川市内に住む当時中学2年生の廣瀬爽彩(さあや)さんが同市内の公園で死亡している状態で発見され、2年以上前からせい惨なイジメに合っていたことが判明。今月18日に遺族の代理人が同市内で記者会見を開いて遺族の手記を公開したことで情報が全国的に広がり、加害者とみられる少年少女たちだけでなく、学校側や市教委などの対応が問題視されている。この事件を取材をしている元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は20日、当サイトに対し、現地で直撃した当該校の元校長から信じられない反応が返ってきたことを明かした。

 小川氏は6月と7月に各3日間ずつ現地に赴いて取材をし、自身のYouTubeチャンネル「小川泰平の事件考察室」で9回に渡って詳細に伝えてきた。

 爽彩さんは中学1年だった2019年に上級生グループの男女から不適切な動画や画像の撮影を強要され、SNSで拡散されるなどのイジメを受けていたとみられ、同年6月には同市内のウッペツ川に加害者側の中学生に囲まれた状態で入水。その後、爽彩さんは今年2月13日に自宅を出て行方不明となり、3月23日に雪の積もった同市内の永山中央公園で亡くなっている姿が発見された。死因は「凍死」とされている。

 遺族の手記によると、爽彩さんは午前3時-4時頃に家を飛び出し、その理由を問うと「先輩に呼ばれているから」と泣きじゃくりながら答えたり、「お母さん、死にたい」と言い出すようになったというが、相談した担任は「思春期ですからよくあることです」と回答。その後も先輩に呼び出されたまま自宅に帰らず、深夜にコンビニで保護されるなどしても、担任や学校はかたくなにイジメの認定を否定し続けたという。

 さらに、母親が爽彩さんの携帯電話にあったイジメを受けていることを示す履歴を中学校に報告したところ、教頭から「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか?どっちが将来の日本のためになりますか?もう一度、冷静に考えてみてください」と言われたという。

 この対応について、小川氏は「教頭は私に対して取材を拒否しましたが、今回の会見で明かされた『1人の被害者より、10人の加害者の未来が大切』という発言が事実だとしたら、とんでもないことですよ。ばかげている。教育者の風上にもおけない。それ以前に、人としてどうなのかと理解に苦しみます」と問題視した。

 また、小川氏はイジメのあった中学校の元校長宅を6月に直撃していた。インターホン越しに話を聞いたが、「第三者調査委員会がやっているので、私から何もお答えできません」と取材拒否された。それでも、小川氏が「取材ではなく、廣瀬さんに対する思いを聞かせて欲しいです」と問うと、「廣瀬さんってどなたですか?」と返され、小川氏が「廣瀬爽彩さんですよ」とフルネームで改めて伝えると、元校長は「あー、亡くなった子ですか」と、そっけなく返答。小川氏は「そんな言い方はないでしょう!先生のかわいい生徒さんじゃないんですか!」と、元校長の反応に怒りを表した。

 小川氏は「第三者調査委員会といっても、ほとんどが旭川の方たちで、11名全員が北海道の人です。教育委員会から講演を頼まれるような立場の人もいて、何の意味もないと思います。本来の第三者委員会としての機能を果たすのか疑問です」と根本的な解決にはならないと懸念した。

 母親も手記で同委員会への「違和感と疑問」をつづり、何も語らない加害者側の少年少女に向けて「イジメで人が死に追いやられることがあるということを知って欲しい。相手が心に深い傷を受け、苦しんでいるということに今からでも気づいて、自分たちのしたことを省みて欲しい」と訴えた。14歳で命を落とした爽彩さんの身に何が起きていたのか、遺族は真実を知るために情報提供を呼びかけている。

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