レジに長蛇の列 「ゆっくりでいいよ、大丈夫。あなたは悪くないからね」その言葉に泣いた

竹内 章 竹内 章

スーパーやコンビニエンスストアでレジに立つ人が、客から受けるハラスメント、通称レジハラ。どんな客にも笑顔で接客するレジ係の人が、秘めた思いをぶちまけたイラストがツイッターで話題です。「言ってくれてありがとう」「早くユニクロみたいな自動レジになってほしい」などなど、1000を超えるリプライから見えてくるのは、この接客業務の大変さです。クレームに心が折れそうな投稿主さんの支えになったのが温かいねぎらいの言葉でした。客の中には心ない人もいれば神さまだっている。ならば買い物をする私たちがすべきことは…決まってますよね!

「レジ打ちしてていつも思うこと」と題し、エキサイティングシュート(@Harenchi_Police)さんが、1月18日に投稿したイラスト。「教えて!Twitter絵師ハカセ」をもじって、クレームや無理難題を言い張る客に女性が笑顔で応じています。が、吹き出し部分はド直球の本音というギャップが、現場の仲間たちに突き刺さっています。「いいね何万回でも押したい」「凄い並んでる(俺の心)」など 数日のうちに10万以上リツイートされ、33万超のいいねが寄せられました。 

客「おい!こんなに並んでるんだから応援呼べよ!!」

レジ担当「もう呼んどるわ 客がどんだけ並んでいるかなんて客と対峙してる店員が一番わかってるわ。2人並んだ時点で応援呼んでんだよ。ただ応援者が遠くにいたり接客中だとなかなか来れないんだよわかれれや。(中略)黙って待っとけスマホでも見てろ」

客(会計後)「探したらポイントカードあったからポイントつけて」

レジ担当「レジで『ポイントカードお持ちですか?』て確かに聞いたし『ない』て言っただろ前言覆すな。会計中に探されるのも時間かかって迷惑だし会計の後はもっと迷惑だわレジ前に確認しとけ。大体他の客並んでいるのになぜ並ばずに戻ってくる?(中略)マジで並びなおせ。戻ってくるな鮭かお前は。」 

エキサイティングシュートさんによると、イラストは、同じレジ打ちをしている友人との会話がきっかけで、積もり積もった思いから作成しました。以前からこうした客はいましたが、新型コロナウイルスの完成拡大でより悪化。店員とたまたま手が触れただけで嫌な顔をしたり、ばい菌扱いしたりする人も。レジを通った後、持参した除菌シートで買った品物、自分の手や腕をしっかり拭いてから帰る客もいるといいます。

 

―コロナ禍の影響は今も続いていますか。

「トイレットペーパーやマスクが品薄だった昨年3月頃は客全体がピリピリしていました。その時ほどではありませんが、今も尾を引いているのを感じます。みなさん、心に余裕がないように思います」

―レジ係の皆さんのメンタルが心配です。

「とにかく気にしないことです。レジ打ちをしていると一日に100人以上のお客さまと接するので気にかけていたらきりがありません。もちろんこちらの不手際でご意見をいただいた場合は反省しますが、大多数のクレームはお客さま本位によるものです。はいはいと受け流して次のお客さまを通すときには忘れるようにしています(笑)」

―イラストとは真逆の人もいますか。

「優しいお客さまもたくさんいます。会計後に『ありがとう』と言っていただけたり、笑顔を向けられたりするとそれだけで頑張れちゃうんですよね。お客さまによってストレスを抱えることもあれば、お客さまに救われることもあります」

―エキサイティングシュートさんにはどんな経験がありますか。

「一昨年の1月、お昼頃でした。ものすごくお客さまが並んでいたのですが、応援者が別の件で来ることができず、「早くしろ」「列が見えないのか」などきつい言葉を受けました。『そんなことはわかってるし、応援なんてもう呼んでる』と思いながら何度も応援要請したのですが、結局来ませんでした。かなり時間がかかってレジ打ちをしていたのですが、ずっと並んでいたお客さま、40〜50代くらいの女性から『ゆっくりでいいよ、大丈夫。あなたは悪くないからね』と優しく肩を叩かれ、つい泣いてしまいました。『ありがとうございます』とお返しするのがやっとでした」

―場面が思い浮かびます…。

「他にもクレームを受けているときに別のお客さまが『それはあなたの勝手だろう』とかばってくれたこともあります。声に出さなくてもこちらを思ってくださるお客さまはかなり多いです。日々助けられてるなと感じます」

―レジ場面以外でお客さんに守ってほしいことはありますか。

「一番は『買わなくなった商品の別の棚に置かないで』ですね。商品全部にセンサーがついているわけではないので、違う棚にあると店員は気づけないんです。薬や洗剤などはまだいいのですが、要冷蔵の商品や冷凍商品を常温の棚に置かれるととても困ります。魚や牛乳などは品質が保証できなくなるので廃棄され店の損害になります」

―そんな人がいるんですか…

「もし買わないのでしたらレジに持ってきて頂いて『これ買わないから戻してください』と声をかけてくだされば大丈夫です。うちの店では、レジに『戻し商品入れ』というものがあって、そこに商品を入れて空き時間に棚に戻しに行きます。生ものなどは別の店員に渡して戻してもらったりしていますが、とにかく買わなくなったものは店員に渡してほしいです」 

投稿がバズったことは作成者としてはうれしい半面、同じ仕事のみんながストレスを抱えて働いていると実感したというエキサイティングシュートさん。「たかがレジ打ち業務、でも、誰かがしなければいけない仕事です。もう少し寛大な心を持って接していただけるとうれしいです」と思いを明かしてくれました。

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